「今回の判決で裁判所は、事件捏造(ねつぞう)という原点に初めて向き合ってくれた. 橋本 進 「反戦思想を弾圧 事件捏造の国家責任明らかに」より (2008年11月19日 しんぶん赤旗掲載) |
2009年3月30日
第四次再審請求で、治安維持法違反の有罪が確定した雑誌「改造」元編集者の故小野康人の再審判決公判が2009年3月30日、横浜地裁であり、大島隆明裁判長は有罪無罪を判断せずに裁判を打ち切る「免訴」を言い渡しました.小野さん側は控訴せず、国に刑事訴訟を請求します.(しんぶん赤旗2009年3月30日.以下同じ).
小野さん側は以下のように述べました.
事件は、捏造(ねつぞう)と無罪判決を求めましたが、地裁は最高裁判例を踏襲し、退けました. |
大島裁判長はまず、拷問による虐待の自白を認定した昨年10月の再審開始決定を踏まえ、「法的な障害がなければ再審で直ちに実体判断が可能な状態にある」と述べました. その上で、法的に無罪判決が言い渡されるかを検討しました. 死後判決について「元被告の名誉回復の手段」と指摘. 「遺族らは無罪を望んでおり、実体判断せずに免訴判決を下せば遺族らの意図は十分達成されず、心情は理解できる」としました.
さらに、横浜事件について ◇歴史的背景事情 ◇事件記録の破棄 を「一般の再審と異なる特殊な事情」に挙げました.
一方で、小野さんが治安維持法の廃止により大赦を受けたことから、旧刑訴法の認定が適用されると判断. 免訴でも有罪の確定判決が失効して不利益がなくなる点は同じと言及し、「特殊事情があったとしても通常と異なる取り扱いをする理由にはならず、免訴すべきと判断せざるを得ない」と結論づけました.
小野さんは1943年5月に逮捕、45年9月に懲役2年、執行猶予3年の判決を受け確定. 59年に死亡し、次男新一さんと長女斎藤信子さんが再審請求しました. 別の元被告5人の再審は、最高裁で作人3月、免訴が確定しました.
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